シーリング防水について

雨漏りの修繕にはさまざまな理由があります。その中でも、シーリング処理の仕方が原因で雨漏りを起こしている可能性もあります。水戸部建装では、シーリングの専門資格を習得した職人がいますので、ご安心ください。その技術について、ここでご説明いたします。

 

1. 既存のシーリング材の劣化状況を調査・診断し、張り直し箇所の有無などを見極め、施工計画を行います。

界面剥離

新築時のプライマー塗布不足等が原因で中まで剥離しているとサイディングが吸水し、そこから入った水分が凍結・融解を繰り返し、基材を破壊します(凍害)。切り取って打ち直す必要があります。

プライマー

被着体とシーリング材の接着性を向上させる為に予め接着面に塗布する液状の下地処理材料で、シーリング材の施工には原則的に用いなければならないもの。修行時代には先輩から口酸っぱく「これ塗らないと全くくっつかないと思って塗れ!」と言われてました

凍害

定義は様々ありますが、サイディングにおいては、切断小口から侵入した雨水が内部で凍結する際、体積が9%程膨張する為、サイディングを破壊する事とします。その為、メンテナンス行為が必要となるのです。

表面劣化(白くなっている部分)

紫外線によりシーリング材に含まれる可塑剤が抜け弾力を失う、若しくは色が抜ける。放っておくとシーリング材が無くなっていきます。

可塑剤

ゴム・プラスチック製品に柔軟性を与える為添加する液状の物で身の回りにあるものですと、輪ゴムや物干しのプラスチック部分を想像して下さい。輪ゴムはだんだん固くなり何れボロボロ・若しくはドロドロ。物干し等は表面が劣化して粉っぽくなり割れてしまいます。何れも可塑剤が抜ける事により起こります。シーリングも同様、紫外線により可塑剤や樹脂分が抜けていき、劣化していきます。

凝集破断

木造住宅は、自然の力によって絶えず動いています。また、サイディング自体も主成分はセメントで出来ているものがほとんどですが、伸縮・吸水の仕方は木材に近い物です。構造物のジョイントにはワーキングジョイントとノンワーキングジョイントがありサイディングのジョイントはワーキングジョイントに分類されます。その動きのほとんどを受け止めるのがシーリング材の役割で、施工完了直後から絶えず負荷のかかった状態になります。近年のシーリング材は応力緩和タイプがほとんどですが、それでも疲れ果てると写真のような状態へと劣化します。他の原因としては3面接着となっている事が考えられます。

ワーキングジョイント

目地にムーブメント(温度・湿度変化・風・地震・振動等により建築部材に伸縮・ずれなど生ずる時の動きまたは、その程度を言う。温度・湿度によるムーブメントを長期的ムーブメント。地震によって生ずる動きを短期ムーブメントという)が生ずるものを言い、高層ビルのカーテンウォール等の目地・住宅のサイディングの目地もこれに当てはまります。

ノンワーキングジョイント

ムーブメントを生じないか、あるいは極めて小さいムーブメントが発生する目地を言う。鉄筋コンクリート造の打ち継ぎ目地(階高部分にある横目地)や亀裂誘発目地(縦に入ってる目地)や窓廻り、PC版のサッシ廻り等がこれに当てはまります。これ以外、ほとんどの物が絶えず動いていると考えても良いくらいです。木造モルタルの場合はどちらかといえばワーキングジョイントに入ると思っています。構造物の動く部分にきちんと目地が入っていれば、そこにシーリング材を充填する事でクッション材・軟骨的な要素を果たし、ひび割れを極力抑える事が出来ます。木造モルタルの戸建てをお持ちのお客さまで、目地部分にひび割れが入っているような場合は、きちんと役目をはたしていると考えて下さい。弊社ではモルタル壁の場合にも、建具廻り、目地部分にシーリング施工を致しておりますので、ご安心ください。

応力緩和

材料を一定の変形状態(破壊するような力ではなく)に保つと、元の形に戻ろうとする力=応力 が働くのですが、その力が時間と共に低下する現象の事を言います。言いかえれば、サイディングが収縮した時に柔軟に追従していくものと考えて下さい。 戻ろうとする力=応力が弱い為=低モジュラス

3面接着

目地にシーリング材を充填する際、相対する被着面(サイディングの場合には目地の両側)と目地底の3面に接着させる事を言います。 シーリング材の機能維持の為には目地の伸縮に自由に追従出来る事が必要です。ワーキングジョイントでは2面接着が絶対不可欠な条件となります。その為、バックアップ材やボンドブレーカー・ハットジョイナー等により目地底からの絶縁が必要になるのです。一方で、ノンワーキングジョイントや上にあげたモルタル外壁などは、バックアップ材等を装填してしまうと、そこが雨水の侵入経路となってしまう為、3面接着が望ましいとされています。

被着体破壊

被着体自体の保持力を接着力が上回った時に起こります。新築時に目に見えない微細なクラックが起こっていた場合がほとんどです。

 

2. サイディングの特定

当時のカタログや施工経験をもとに、お客様のお宅に張られているサイディングを可能な限り特定します。張替工事が必要な場合には、メーカーに問い合わせ同じサイディングを取り寄せる事もございます。また、同じものが探せない場合、メーカーの推奨品にて代用させて頂きます。 2000年前後より、各社のコーティング技術が進み、様々な多機能商品が出回るようになりました。中には塗装不可な商品や、塗装する事で逆に性能が落ちてしまう商品等もある為見極めが重要です。弊社では、新築のシーリング工事も行っている為、常に新商品に明るく、また、建材店やメーカーへのパイプもありますので、塗装後剥れ落ちた…。等という事はございません。安心してお任せ下さい。

 

3. 既存シーリング材の撤去

工具・カッター・人力で既存のシーリング材を撤去していきます。切断小口は上記のようにきれいに取り除きます。 そして、新築時と同じ状態に近付けます。既存のシーリング材が残存していると、新しく施工するシーリング材との間に1層入り込む事になり、打ち替えを行う意義が無くなってしまう為、この作業できれいにする必要があります。 上記のような3面接着の場合も同様に可能な限り撤去しますが、取り除くのが難しい場合にはMカットで対応する事もございます。 サッシ廻り・入れ隅部分・軒天材の取り合い部分等は基本的にVカットで新しい接着面を出してあげた後に増し打ち施工となります。但し明らかに接着しておらず、引っ張って取り除けるような場合には完全な打ち替えとなります。 切取材は多い場合で土嚢袋6つになる事もございます。何れの場合も、接着している箇所していない箇所、切取可能な箇所不可能な箇所を経験に基づいて判断し、1軒1軒お客様のお宅に最適な施工をさせて頂きます。

 

4. 張り替え・増し締め

切取が完了したら、張り替え工事と増し締め作業に入ります。ちょっとした事なら自分たちで行ってしまう業者さんもいらっしゃるようですが、餅屋は餅屋。弊社では日本窯業系外装材協会通称NYGの試験に合格している外装材施工のプロにお願いしています。 施工後、10年も経過すると新築時に打ちこんだ釘も、どんどんゆるくなってきます。そこで弊社では、再シーリングを行う前に必ず増し締めを行います。さらに当時の施工で規定量を満たしていない部分の釘を新たに打ち込んだり、下地のやせ具合により直接長いビスで躯体に固定します。金具止めによる施工の場合には、わざとルーズに作ってある為、点検程度にしておきます。多い時には45坪ほどのお宅で釘7kgも使う事もある程です。 続いて張り替え工事です。凍害等によりサイディングの損傷が激しい場合には張り替え工事を行います。新品が手に入る場合には新品で。不可能な場合には代用品や、ベランダ内部等から剥がし、見える部分に使い見えないベランダ部分に違う柄を張りつける等、ご相談しながら施工を進めて参ります。その際には普段は見る事の出来ない土台や柱等もご覧いただけます。柱や土台の腐食・白アリによる食害等見つかる事もあり、建物の長寿命化につながります。張り替える外装材には、吸水止めを必ず施工します。こうする事で水を吸う事も無くなり凍害が起きません。張り替えを行わない部分も上塗り材を丹念に塗り込む為、凍害が起きる事はありません。 この施工フローに基づくと、切り取りから再シールまで時間がかかり、目地が開放されたままという事になりますが足場が架かり、シートが張られますし壁内にはアスファルトフェルトや透湿シートが張ってあり、さらにきちんと施工なさっているところではサッシ廻りに防水テープが貼られている為、室内への漏水の心配は、まずありません。現在の施工ではサイディングはあくまで2次防水と考えられ、元請けによっては透湿シートと防水テープを貼った段階で、放水試験を行う会社もあるようです。

 

5. 改善工事

起こっている事象には、必ず原因があるものです。弊社ではただ塗装を行うのではなく、原因を突き止め解消する事を徹底して行います。サイディング施工士をはじめ、大工・板金工・左官工・サッシ工・設備工・電気工・防水工・内装工等ネットワークを構築し、お客様の要望にお応えできる体制を整えています。

 

6. 再シーリング工事

再シーリング工事の開始です。まず、材料の選定を行います。再塗装を施す場合には、可塑剤が入っているジーリング材を使うと塗装表面へ滲み出てしまう(ブリード現象といいます)為、可塑剤を含まないノンブリードタイプの応力緩和・低モジュラス品にて施工します。誤解の無いように申しますと、低モジュラス品が良い。という訳ではありません。中モジュラスでないと駄目な部位、高モジュラスでないと駄目な部位と、様々あります。 ここで、シーリング工事の背景をちょっとだけ。もともとシーリング工事はビル工事がメインの仕事です。私もビル工事で育てて頂きました。ビル工事では1950年代には既にシーリング材が使用されていたようで、その後、1963年には国内生産が開始されました。 シーリング材の分類として1成分型(ホームセンター等に置いてある筒状のもの等があるので皆さんもご存知ではないでしょうか。)と主剤・硬化剤を混練して使用する2成分型があります。1成分型は硬化方法により4つに分類されます。

  1. 湿気硬化型 文字通り空気中の水分と反応して硬化します。冬季間や気温が低い時等、硬化が遅いのはこの為です。逆に梅雨時や、真夏などはたちまち硬化します。シリコーン系・変成シリコーン系・ポリサルファイド系・ポリウレタン系等がこれに属します。
  2. 酸素硬化型 空気中の酸素と反応して硬化します。変成ポリサルファイド系が属します。
  3. 乾燥硬化型 含有水分の蒸発により硬化します。アクリル系が属します。従来ALCの板間に使用されました。今はあまり使用されません。
  4. 非硬化型 鏡面は空気中の酸素と反応して皮膜を形成しますが内部は硬化しません。油性コーキング材がこれに当てはまり、コーキング屋さんと通例的に呼ばれるのはこの為です。厳密には今現在、コーキング屋さんは居ません。シーリング屋さんのみです。

2成分型は基材と硬化剤が反応する事で硬化する混合反応硬化型です。缶やパウチに入っている基材と硬化剤を専用の混練器で混練し、バキュームガンで吸い込み施工します。弊社が新築時や、リフォームでも後塗装なしの場合に使用するのがこのタイプ。1成分型も缶入りのものを使用します。1成分型(筒状)がどなたでも手に入るのに対し、業務用・プロユースの商品といえます。また、缶入りの為ロスが少なく、ボリュームを持たせたシーリングが出来るため、仕上げ材への空気の混入が少なくきちんとした仕上げが可能です。

 

7. バックアップ材の装填・ボンドブレーカーの貼り付け

切取を行うと、既存のハットジョイナーに貼り付けられているボンドブレーカーが剥離してしまいます。そのまま充填すると、3面接着になってしまう為、新しくボンドブレーカーを張りつける必要があります。
また、バックアップ材も切取により傷ついてしまい、シール材が発泡する恐れがあるため同じように交換が必要です。ボンドブレーカーにもさまざまな種類があり、充填する材種により変える必要があります。バックアップ材は3面接着の防止はもちろん、シールの厚みの調整に役割も果たします。シーリングは厚ければ厚い方が決して良い訳ではなく、適正量が定められております。一般的には目地幅の半分、幅が20ミリであれば厚みは10ミリ程度となっています。充填が厚くなると、横方向の引っ張りに弱くなってしまう為、厚すぎず薄すぎず、適正なサイズでの施工が重要です。

 

8. マスキング・プライマーの塗布

続いて、マスキングです。仕上がりの良否を左右する大事な工程です。仕上がりを想像しつつ、緻密かつ直線が出るように貼り上げなくてはいけません。糊の強い物から弱い物、最近ではセルフクリーニング専用テープ等という物まであります。改修工事の場合には糊が残ったり、また思いのほか接着が強かったりと様々なシチュエーションに対応する為何種類か準備しておく必要があります。
シーリング材が本来の防水性能を発揮するにはシーリング材のそのもの以外に、被着体に十分に接着する事が基本です。被着体は星の数ほどある訳ですから、これらに接着させるにはプライマーが非常に重要な役割を担っています。
主な役割は以下になります。

  • シーリング材と被着体間の接着性の付与向上
  • 表面強度の脆弱な被着体表面の強化
  • 多孔質物質の内部からシーリング材接着面への水、アルカリなどの流出防止
  • 被着体またはシーリング材からの可塑剤の移行防止

接着が良好な状態の目安として、被着体破壊とシーリング材の凝集破壊が良いとされています。(被着体を破壊するほど接着している、若しくはシーリング材が切れてしまうほど被着体に接着しているという事)皆さんのお宅のシーリングがメジの真ん中から材破していたら、きちんと施工されている目安と言えます。

主な種類として、合成ゴム系·アクリル系·ウレタン系·エポキシ系·シリコーンレジン系·シラン系等に分類されます。主成分の配合が各社異なる為メーカーが準備しているプライマーの使用が大前提となります。

 

9. 混練

1成分型でも基準色(白・グレー・ベージュ・茶・黒等)以外は、トナーを入れて混練し塗色に近付けた上で施工します。空気を巻き込まない様に、専用工具にて行います。材料によりますが12分から15分、斑がなくなるまで十分に混練します。

 

10. 充填

材料が出来上がれば充填に入ります。空気が入らない様に材料をバキュームガンで吸い込み、目地底より充填していきます。簡単に見えるこの工程。空気の入らない様に充填するには順序良く行う事が重要です。必ず角部分から打ち始め交差部などで打ち継ぎしてはいけません。隅々まで材料を行き渡らせるために重要な仕事です。カートリッジタイプですと、材料がもったいないという意識が働き、奥まで充填するのがどうしても難しいようです。私どもが缶入りの1成分系、及び2成分系の材料にこだわるのはこのためです。

 

11. 仕上げ

充填の次はヘラ押さえです。充填のみでは不十分な個所を転圧しながら撫で返ししていきます。同一方向から2回、反対方向から1回仕上げます。こうすることで、内部に混入している恐れのある空気分を追い出すことが出来ます。ちょっとでもおやりになった事がある方ならわかると思いますが、非常に繊細で難しい仕事です。見ている分にはかなり簡単に思えるらしいのですが、これがなかなか。上から下まで一気に仕上げることは不可能ですので、途中でジョイントがつくことになります。このジョイントを消すことが出来ないと、現場に出向き仕上げることは不可能です。専門業者である私どもがプロと言われる所以です。

 

12. テープ剥がし・片づけ・清掃

仕上げが終わった個所から、マスキングテープを剥がしていきます。ただ剥がすのではなく、「最後の仕上げ」と言っても良い位、重要な工程となります。テープがぶつからないように、角度、方向に注意を払い剥がしていきます。また、汚してしまったところなどを清掃溶剤で清掃していきます。サッシなどはシンナーなどの強溶剤で、サイディング板面などはノルマルヘキサンなどの弱溶剤で、というように被着体に合わせた溶剤で行いますので、万が一にも剥げてしまった!などということはございませんのでご安心ください。

 

13. こだわりポイント

コンセント廻り

躯体まで貫通している部位ですので、廻りをシールします。

屋根際

外壁に雨水が伝うと凍害を起こすため、雪割り加工をします。

伝い水防止水切り

サッシからの伝い水により、凍害が起きないように水切りを取り付けます。短いものと長いものがございます。

テーパー仕上

被着体・施工場所にもよりますが、折角の改修工事ですのでご相談の上、極力有効な施工を心がけております。

働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国としてそれを証明する制度、それが技能検定です。 水戸部建装の社員は、資格取得のために必要な経験年数が足りない者を除いて、全員が一級技能検定試験に合格した一級技能士の資格を有しております。 また、技能士の資格の他にも多数の専門的な資格をそれぞれの社員が有しております。 確かな技術を有する施工業者をお探しの際は、お気軽にご相談ください。

車や家電製品といった「目に見えるもの」がある商品と異なり、外壁塗装や屋根の塗装は定価という概念が存在しません。 それだけに、目先のお求めやすさだけを重視してしまうと、結果として提示された施工の仕上がりが納得のいくものになっていなかった、というケースも少なくありません。 山形の水戸部建装では、見積もりを算出する前にお客様のご希望をお伺いし、施工対象となる建物を拝見した上で、適切な金額のご提案を行っております。過度な営業を行うスタッフは誰一人おりませんので、提出した見積もりにご納得いただけた段階でご依頼いただければと思います。

水戸部建装は、外壁塗装・屋根塗装を主な業務として承っておりますが、建物に関する対応でしたらこれ以外にも対応できる用件が様々ございます。 たとえば、建物全体において経年劣化、何らかの影響で生じた破損・不具合等が見受けられる箇所を、お建物が建った当初の水準まで元通りに修繕する、建物修繕工事のご相談にも対応しております。 「外壁や屋根の塗装に関する話じゃないけれど、相談しても大丈夫?」そんな時でもお気軽にご相談ください。

外壁の塗り替えタイミングは外壁の素材、そしてその建物の立地状況によって異なります。 水戸部建装では、外壁の種類についてまとめたページにメンテナンスの時期についても記載しております。 もちろんすべてがお客様のお住まいに該当するわけではありませんので、細かな状況について相談したいことがおありでしたら、お気軽にお問い合わせください。

外壁にできたひび割れをそのままにして塗装を行っても、塗料は長持ちしません。 せっかく行った塗り替え工事が、ひび割れひとつを見逃すことで台無しになってしまうことも少なくありません。 水戸部建装では、できたひび割れの幅、深さなどの状況に応じて、適切な材料を用いて正確に補修を行い、その上で外壁塗装を実施いたします。

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